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Any Day Now (チョコレートドーナツ)

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1979年カリフォルニア、ゲイバーで働く男ルディは、ゲイであることを隠し続けてきた検事の男ポールと、アパートの隣に住んでいたマルコというダウン症の少年に出会う。

マルコの母は薬物中毒で刑務所へ送られることに。母しか身寄りの無いマルコが施設に送られそうになっているのを見かねて、ルディとポールはマルコの親権を取り、3人で共同生活を送ることに。幸せな日々が続くも、元々肩身の狭い彼らに「正義」という名の世の中の矛盾が彼らを引き裂こうとしていた。

Overall 全体:☆☆☆☆

Story ストーリー:☆☆☆☆

Image 映像: ☆☆☆

Music 音楽:☆☆☆☆

 

見終わった後に残る心のモヤモヤ。元気がないときには観ないほうが良さそうな心の空虚感が残る。実話というのが更にその気持に拍車をかける。

「ゲイ」「オカマ」「障害者」というだけで様々な世間的な差別を受ける彼ら。しかし、その実態は、世の中を大手を振って生きている人々よりもよほど慈愛に満ち、利害だけでない純粋な関係が築かれているにも関わらず、人々は偏見によって全てを評価してしまう。

ラストはあまりにも悲しく、そしてやるせない内容。もし世の中の人に偏見と差別が無ければ、こんなことにはならなかった。別け隔てなく真実を見つめる眼があれば、誰もつらい思いをしなかった。そんな気持ちにさせられる虚しさで涙が出そうになります。

だけど、その3人が束の間でも幸せそうに過ごす姿は本当に美しいし、思わず顔がほころぶ気持ちになる。特に、実際にダウン症を患っているにも関わらず「役者」としてマルコ役をしているアイザック・レイヴァの演技は本当に素晴らしく、自分の中で「ダウン症」という病気を持った人の印象が実際に変わった気もする。同時に、私の中にも少なからず偏見があることを知って、反省した。