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T.S. Spivet

http://fr.web.img5.acsta.net/pictures/210/060/21006006_20130913150332044.jpg

全体:☆☆☆☆

ストーリー:

映像:

音楽:

 

アメリカ西部の農家に生まれたスピヴェットは、カウボーイのような寡黙な父、昆虫研究者の母、アイドルを目指す姉、そして自分とは真反対の二卵性双生児の弟と暮らしていた。ある日、その弟は事故で死んでしまう。

スピヴェットは科学に長けており、ある日スピヴェットのもとに一本の電話が届く。

それは、彼が学会に提出した発明が賞を受賞したという知らせだった。
彼は一度それを自分が10歳だから、という理由で辞退するが、現状を変えたい、その思いで一人ワシントンD.Cを目指す。

ジャンピエールジェネ独特のコメディ&皮肉が気持ち良い作品だった。今回3Dで観ることができず、3Dなのだろうなという部分を2Dで見たことだけが心残り。
でも映像から察するに3Dの使い方が秀逸と感じた。3Dが利用されている部分は主にスピヴェットの妄想・想像の世界で、次元を別にすることで妄想を表現するというのは面白いと思った。しかし、今回のように2Dになってしまうとその魅力は半減するのはいたしかたない。
内容的にも共感できる内容で、環境が子供の想像力を育て、しかしまた一方でその環境が子供の発展を阻んでいる。そして現代社会では、子供達の発想の自由は奪われ固定観念で見られる。言いたいことも抑制され、金に目のくらんだ学者の女の立ち振る舞いやテレビ番組のシーンなどは俗世を巧みに批判しているシーンだと思った。そしてその2人を思いっきり平手打ち&殴ったスピヴェットの両親はジェネの意志そのものであると感じた。私はそのシーンを見て、とてもすっきりした。
ランス人の描くアメリカは美しく、最近のハリウッド作品などに出てくるアメリカのそれとは比べ物にならない映像美だった。アメリカをこのように描くこともできるのだなと感心した。