The Elephant Man
全体:☆☆☆☆
ストーリー:☆☆☆
音楽:☆☆☆☆
映像:☆☆☆
1800年代に実在した、ジョゼフ・メリックという人の人生を基盤に制作された映画。
劇中ではジョン・メリックとある。
実際は先天性の奇形であるが、映画上では「彼の母親が妊娠中、象に襲われた時の恐怖が影響して彼の体が奇形になった」という設定。
また、フリークショーのオーナーからの異常な虐待というのも脚色で、実際は良い待遇を受けていたという。
ストーリーとしてはひたすら物悲しい、というか同情心しか浮かばない。報われない。
が、とにかくジョンの心が純で、優しくされることに涙し、それが例え偽物の愛情だったとしても彼は心から喜ぶ。
それに対して、外科医であるトレービスは最初は自分の研究の為にオーナーから引き離し、彼を保護していたことや、興味本位の金持ちや著名人が彼に面会に来るのを許していたことに対して自責の念を覚え始める。また、病院の寮母や看護婦も、最初は明らかに嫌悪感を持っていたが少しずつ彼の本質に触れ態度が変わり始める。このような、自分自身の本当の善意や悪意に対する対外的な部分、即ち世間体であるとか、社会から賞賛されたいだとか、損得を基盤にした善意と悪意の描写が非常に艶かしいと思った。
最終的に彼は彼には出来ないあおむけに寝るという行為をして映画は終わる。幸せな観劇の後で、彼はどうしてそれをしたのか。色々な憶測が出来るが現代の映画なら彼は幸せに寿命まで生きる筈だったろう。あえて死を選ぶという行為が、生々しく心の中に残った。
ちなみに実際には、自殺なのか、事故であったのかは明らかではない。