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La danza de la realidad(リアリティのダンス)

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この映画の監督であるアレハンドロ氏が戦時中、チリの小さな町で過ごした日々の記憶を独創的に表現している。信心深い母と、それとは対照的に現実的な父と、ユダヤ系として生まれた一家に振りかかる厳しい現実がアレハンドロの身に代わる代わる影響を与える。

 

全体:☆☆☆

ストーリー:☆☆

映像:☆☆☆☆

音楽:☆☆☆

 

全体的に独創性抜群。お母さんまず会話するときも歌声だし、出てくる登場人物も全体的に何処か珍妙。最初始まって30分位はキャパオーバーだったけど途中からは慣れてきた。子供の頃に見えていた雰囲気というイメージなのだろうか。最初の方はずっと、アレハンドロ氏の幼少期の姿が主人公となって物語が展開するのだが、後半はほぼ父親の放浪記になっていた。

私はナチユダヤ系の歴史についてあまり詳しいわけではないので、その当時のチリの社会情勢やユダヤ迫害の流れなどをもっとちゃんと知っていればもう少し理解が出来たのかもしれないけれども、とにかく無知な私にはユダヤって大変だったんだな、というイメージが生まれた。最近観た悪童日記にもユダヤ系の話は出ていた。国際的な大問題であったこの事件について自分はもう少し知識を持つべきだなあ、と思ってしまった。

そんな風に感じさせるのはやはり老人の作るものは少し説法臭いというところがあるのだろうか。宮﨑駿でさえも、老いとともにそのテーマの描き方は露骨になり、メッセージ性はとても強いものになっていった。死が徐々に近づくと、その表現の形も若い世代に何かを言い残したいという風な形態を取りたくなるものなのだろうか。